2017年 08月 07日
霞沢〜霞沢岳 |
ルート概要:沢渡(6:00)〜霞沢〜霞沢岳南陵2514直下〜霞沢岳(15:00)〜八右衛門沢〜上高地(19:00)
メンバー:atthis、T(2名)
霞沢から霞沢岳を越えて上高地に入る
地図上のラインを見るとなかなか魅力的なライン取りに思えた
高度な登攀技術は持ち合わせていないけど、探検的な登山ならできる
学部生時代、部の運営方針や山行計画でばちばち言い合いをしたかつての後輩Tと、未知のルートに挑むことにした
松本近郊で、何か面白いことはできないか?
とっかかりはそんなものだった。
もともとは水殿川に興味があったが、確保できる日数の問題上、それよりは短そうな霞沢から霞沢岳をへて上高地に至るルートを通ってみることになった。
沢渡から霞沢に入渓するが、砂防堰堤だらけで下部に見るべきところはない。
土砂の運搬量が多いようで、堰堤の上流部は砂礫で埋め尽くされている。
魚影も全く見られない・・・
下大ダシ沢出会いを過ぎるとようやく渓流の様相になってきたが・・・
あっという間に源頭部の様相
奥にK2が見え隠れしている。
霞沢岳の東面は上部が切り立っている上に、岩質が脆い
その上見るからにヤブが濃く、どう登るべきか、しばし相談
上部の斜度が比較的緩い左側の斜面を登って行くことに決まった
抜ける先が、登山道から離れているが、まあどうにかなるだろうという見立てだった
しばらく進むとすぐに水が枯れ、急な谷になった。
この辺は残雪や流水の影響で、そこまでヤブは深くない。
そのうちに沢は不明瞭になり、ヤブの濃い急斜面に突入した
ジリジリと左側の小尾根に乗り上がり、ぐいぐい高度を稼ぐ
傾斜は45度以上でほとんど藪漕ぎをしながらの木登りだ
2時間で稜線に抜けられるかなという読みは、見事に裏切られ、3時間余りの藪漕ぎクライミングを強いられた
「あれっ、僕らは沢登りにきたんじゃなかったっけ?」
「藪漕ぎに来たんですよ・・・」
「なぜ、山に登るのか?」
「そこに藪があるから・・・」
などと訳のわからないことを言い合ったり
「なぜ僕は、こんなところでこんなことをしているのか?とTは自分に問いかけた。そんなことは、山頂に着いてから考えればいいとTはひとりごちて、また藪を登り始めた・・・」
とか、なにやら小説風に言ってみたり
「50cmの勝利を掴みとれ!その積み重ねが山頂につながる!」
と、自分たちを鼓舞してみたり
とにかくあの手この手で、苦痛を誤魔化しつつ、ただ淡々と藪をかき分け、登る。
そう、この時点で僕らには引き返すという選択肢は無くなっていたのだ。
極端に言うと、諦める=遭難だから。
ひいひい言いながら、なんとか主稜線上に這い上がった。
が・・・ここからが始まりだった。
山頂まで700mもないぐらいの位置なのだが、行く手をハイマツに遮られ、なかなか進まない。
潜ろうにも、背丈が低く、かき分けようとすると網目のように入り組んだ枝が邪魔をする。
二人がかりで押し下げて、枝の上に乗って歩くというのをただひたすらに続ける・・・
「終わらない藪はない!」
とか言ってみたものの、肉体的、精神的に参ってしまいそうだ。
「あれ、〇〇さん(山岳会の先輩の名前)、なんでこんなところに?僕らが遅いから迎えに来てくれたんですね!」
「おい!しっかりしろ!そっちは崖だ!」
などと遭難者ごっこをしながら、ハイマツの中を泳ぐこと3時間
霞沢岳に着いた
と同時に雨が降り始めた
水の残りがわずかだったが、八右衛門沢の下降は2時間と見込んで、ここでコーヒーを入れて、一息着いた。
コップ1杯分のコーヒーを分け合い、集中力を取り戻した。
K2を目指して歩き始める。
時折、東側を覗き込むが、切り立っている上にもろく、とても登れそうにない。
主稜線に上がるラインは間違っていなかったようだ・・・
八右衛門沢へ
うっすらと踏み跡があり、なんとかなりそうだ。
上部の急斜面さえ終えれば、あとはこっちのもの・・・
と思っていたら、完全に甘かった。
中間部で巨岩が堆積しているパートがあり、気安く進ませてはくれない。
ロープを使うほどではないが、慎重なクライムダウンの連続で疲れている我々には結構こたえた。
堰堤が見えてきたところで、水が湧き出している場所があった。
「助かった!」
すでに水筒が空になって2時間近く歩いていたので、喉はカラカラだった。
水を飲んで元気を取り戻し、あとは捻挫に気をつけてさっさと降り日が暮れる前に、上高地につくことができた。
振り返ってみると、充実感と達成感があるが・・・
藪漕ぎはしばらくごめんこうむりたい。
メンバー:atthis、T(2名)
霞沢から霞沢岳を越えて上高地に入る
地図上のラインを見るとなかなか魅力的なライン取りに思えた
高度な登攀技術は持ち合わせていないけど、探検的な登山ならできる
学部生時代、部の運営方針や山行計画でばちばち言い合いをしたかつての後輩Tと、未知のルートに挑むことにした
松本近郊で、何か面白いことはできないか?
とっかかりはそんなものだった。
もともとは水殿川に興味があったが、確保できる日数の問題上、それよりは短そうな霞沢から霞沢岳をへて上高地に至るルートを通ってみることになった。
土砂の運搬量が多いようで、堰堤の上流部は砂礫で埋め尽くされている。
魚影も全く見られない・・・
奥にK2が見え隠れしている。
霞沢岳の東面は上部が切り立っている上に、岩質が脆い
その上見るからにヤブが濃く、どう登るべきか、しばし相談
上部の斜度が比較的緩い左側の斜面を登って行くことに決まった
抜ける先が、登山道から離れているが、まあどうにかなるだろうという見立てだった
この辺は残雪や流水の影響で、そこまでヤブは深くない。
そのうちに沢は不明瞭になり、ヤブの濃い急斜面に突入した
ジリジリと左側の小尾根に乗り上がり、ぐいぐい高度を稼ぐ
傾斜は45度以上でほとんど藪漕ぎをしながらの木登りだ
2時間で稜線に抜けられるかなという読みは、見事に裏切られ、3時間余りの藪漕ぎクライミングを強いられた
「藪漕ぎに来たんですよ・・・」
「なぜ、山に登るのか?」
「そこに藪があるから・・・」
などと訳のわからないことを言い合ったり
「なぜ僕は、こんなところでこんなことをしているのか?とTは自分に問いかけた。そんなことは、山頂に着いてから考えればいいとTはひとりごちて、また藪を登り始めた・・・」
とか、なにやら小説風に言ってみたり
「50cmの勝利を掴みとれ!その積み重ねが山頂につながる!」
と、自分たちを鼓舞してみたり
とにかくあの手この手で、苦痛を誤魔化しつつ、ただ淡々と藪をかき分け、登る。
そう、この時点で僕らには引き返すという選択肢は無くなっていたのだ。
極端に言うと、諦める=遭難だから。
ひいひい言いながら、なんとか主稜線上に這い上がった。
が・・・ここからが始まりだった。
山頂まで700mもないぐらいの位置なのだが、行く手をハイマツに遮られ、なかなか進まない。
潜ろうにも、背丈が低く、かき分けようとすると網目のように入り組んだ枝が邪魔をする。
二人がかりで押し下げて、枝の上に乗って歩くというのをただひたすらに続ける・・・
「終わらない藪はない!」
とか言ってみたものの、肉体的、精神的に参ってしまいそうだ。
「あれ、〇〇さん(山岳会の先輩の名前)、なんでこんなところに?僕らが遅いから迎えに来てくれたんですね!」
「おい!しっかりしろ!そっちは崖だ!」
などと遭難者ごっこをしながら、ハイマツの中を泳ぐこと3時間
と同時に雨が降り始めた
水の残りがわずかだったが、八右衛門沢の下降は2時間と見込んで、ここでコーヒーを入れて、一息着いた。
コップ1杯分のコーヒーを分け合い、集中力を取り戻した。
時折、東側を覗き込むが、切り立っている上にもろく、とても登れそうにない。
主稜線に上がるラインは間違っていなかったようだ・・・
うっすらと踏み跡があり、なんとかなりそうだ。
上部の急斜面さえ終えれば、あとはこっちのもの・・・
と思っていたら、完全に甘かった。
中間部で巨岩が堆積しているパートがあり、気安く進ませてはくれない。
ロープを使うほどではないが、慎重なクライムダウンの連続で疲れている我々には結構こたえた。
堰堤が見えてきたところで、水が湧き出している場所があった。
「助かった!」
すでに水筒が空になって2時間近く歩いていたので、喉はカラカラだった。
水を飲んで元気を取り戻し、あとは捻挫に気をつけてさっさと降り日が暮れる前に、上高地につくことができた。
振り返ってみると、充実感と達成感があるが・・・
藪漕ぎはしばらくごめんこうむりたい。
by Alcedo-atthis
| 2017-08-07 20:43
| 山行記録